本
" data-en-clipboard="true">もしかして、もしかすると、自分は過去、夏目漱石の「坊っちゃん」を読んでいないのでは。読んでいたとしてもそれは、小学校か中学の教科書に載った一文だけの可能性が高い。いや、それだけでは読んだとは決して言えない。あまり…
週一回の「エルピス」に震えています。 www.ktv.jp 正しいことをしたいと思っていても、 保身や諦めでスルーしている自らに、切っ先鋭い刃が向かってくる、渾身のドラマって感じです。 ここ数年、記憶にないとか忘れたとか関係ないとか逃げ回ったり知らん顔…
いわゆる年寄り、と呼ばれる年齢でなくても、相対的に相手より年齢が上となるとそれはもう「老」であり、その「老」に、さらに難癖や説教や嫌味が加わると、「老害」となってしまう。 ところがですね、「老」だってむやみやたらと難癖つけたいわけでも、説教…
今村夏子待望の新作。 やはりこの人の放つストーリーは油断禁物。 今回の短編4作どれも、最後はとんでもないところへ連れて行かれてしまう。 「群像」の9月号で今村夏子研究がされていてその中にこんな引用文があった。 【いまや誰もが正常ではないのだ。私…
物語を紡ぐ、ってまさにこういうことなんだなぁと。 タラント 作者:角田光代 中央公論新社 Amazon タイトルの「タラント」とは、使命とか才能を表す言葉で、 そう聞くと選ばれた者だけに 与えられる特殊なもののように聞こえてしまうけれど、 いやいやそうと…
「なあ、俺と、新しくカルト始めない?」ではじまる短編「信仰」、ここ数週間のあれやこれやのなかで読むとかなり多角的複層的に見えてきて、タイミングってのも結構重要だなと思ってしまった。 「原価いくら?」が好きな言葉で、現実こそ正義で現実こそ自分…
#風をあつめて #細野晴臣 #リリィシュシュのすべて #村上春樹 #海辺のカフカ #ゆらゆら帝国 #バンドをやってる友達 #ヤンヤン夏の想い出 これらタグになにか予感めいたものを感じたならば、ぜひともこのマンガを手に取ってください。 台湾のマンガ家・高妍…
ひょっとして道徳からホラーを生み出すのはとても簡単ではないか、というお話。 小学3年生の道徳の教材に「まどガラスと魚」という文章があります。 以下、おおまかなあらすじです。 ↓ キャッチボールをしていた千一郎少年の投げたボールが、 どこかの家の窓…
平成のはじめだったか昭和の終わりだったか、タイ・バンコクに向かう飛行機のなかで、のんびりと文庫本を読んでいたら、隣の席の女性が、文庫本を指差しながら英語で話しかけてきました。 その仕草と表情から想像すると、おそらくこんな意味の問いかけだった…
今日4月16日は、川端康成の命日です。 川端康成というと「雪国」「伊豆の踊り子」となりますが、 実はですね、 川端という、 作家はですね… 若い娘が老人と添い寝をする「眠れる美女」 男が女性の片腕と一夜を過ごす「片腕」 美しい女を見かけると後を追って…
せんそうせんそうせんそう。 遠く離れた地での戦争の様子はニュースや新聞やネット経由でしかわからず、 かといって、自分が住んでいる自治体主体の戦争がよくわかるかというとそうでもなく、 町が配る<広報◯◯>の片隅に【となり町との戦争〜開戦日:九月一…
" data-en-clipboard="true">「自尊心への礼儀」 " data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true">「三十の反撃」(ソン・ウォンビョン)という小説のなかに、こんな表現がでてきます。 主人公の女性は30歳。大手企業…
きょうまちこ と聞いてどんな漢字を思い浮かべるか。 ここはあえて、「京」ではなく、「今日」の方で。 漫画家でありイラストレーターである 今日マチ子さんの「Distance わたしの#stayhome日記」 Distance わたしの#stayhome日記 作者:今日マチ子 rn press …
2021年9月6日、ジャン=ポール・ベルモンドが亡くなりました。 といっても享年88歳だから現役時代を殆ど知らず、ずっと後になって見た「勝手にしやがれ」と「気狂いピエロ」ぐらいでしか、その動いている姿を知りません。 追悼の意でちょっと見返してみるか…
空襲で京都全市が火に包まれないか、明日こそ金閣が焼けるだろうと夢見るが、待てども待てども京都は空襲に見舞われない。そのもどかしい想いを、三島はこう表している。 ともすると早春の空のただならぬ燦めきは、地上をおおうほどの巨木な斧の、すずしい刃…
【あたりまえのことしか書いていないなと憲法読めり十代の夏】 by俵万智「未来のサイズ」 未来のサイズ 作者:俵 万智 発売日: 2020/10/02 メディア: 単行本 そもそも憲法って 過去権力側が侵した過ちを繰り返さないようにしましょうね、 ってことをまとめた…
秘書がやった私が知らなかった。コンパニオンは感染対策。飯を食うのがなんで悪い。お答え差し控える。誤解を招いたとしたら。エビデンスはない。その指摘は当たらない。ウイルスに打ち勝った証として。 まあなんとも、どれもこれも虚しくうすら寒い言葉が吹…
" data-en-clipboard="true">これはとても個人的な話なんだけど、「1Q84」以降、村上春樹とはとんと離れてしまった。 " data-en-clipboard="true">今では新作が出ても、今年の新語流行語語大賞はなんだろ程度の関心しかなくなってしまっている。 初期中期の…
思いがけずできてしまった膨大なる時間。話し相手も読む本も(もちろんスマホも)ない。 その時間は、まぎれもないヒマ。 つぶす道具を一切持ち合わせていないときのヒマは、危険です。 思考のすべてが、一直線に、自分自身に向かってしまう、から。 アガサ…
8月✕日読了。これは、これは、現代版「日本沈没」じゃあないかい。 「おじさん」が支配する国・日本。 「おじさん」たちによって消費の対象とされている少女たち。 (「おじさん」作詞による)革命の歌を歌う(「おじさん」によって演出されている)アイドル…
5〜6年前のことです。 ある食事の席で、20代前半の女性数名と同じテーブルになりました。 ドラマやアイドルや流行など、どうってことない話題について話していたのですが、気づくとなぜか話題が「生理」に移っていました。 彼女たちは「生理になると◯◯だよ…
中国・武漢の作家・方方さんが、ロックダウン中に毎日オンライン発信していた「武漢日記」というのがあります。 武漢日記:封鎖下60日の魂の記録 作者:方方 発売日: 2020/09/08 メディア: 単行本(ソフトカバー) 話題になった印象的な文章がこれ。 ↓ 一つの…
気づいたら今年はもう8月?! 上半期を奪っていったのはコロナ以外何者でもなく、特に緊急事態を挟んだ「春」はあったのか、さえ、怪しい。 『仕事本 わたしたちの緊急事態日記』 仕事本 作者:尾崎世界観,町田康,花田菜々子,ハイパーミサヲ,瀧波ユカリ,ヤマ…
「マイナスとマイナスをかけるとどうしてプラスになるんだ?!わかりやすく教えてくれー!」 マキタスポーツ&プチ鹿島&サンキュータツオのおっさん三人が、ぐだぐだgdgdグダグダどーでもいい(けれど、案外深い)話をする東京ポッド許可局というラジオ番組…
ポリシー、なんてものではなく、スーツを着るとき以外、シャツはスボンのなかに入れない。そう決めています。 単に裾がシワになるのがイヤ、身体が二分割されるような感覚がイヤなだけですが、周りは、いい年してだらしない男、と思ってるんだろうな。 そん…
コロナウイルスで外出できないイタリアの人たちがベランダで国歌やオペラを演奏したり歌いあっているようで。 www.bbc.com 困難など、同じ状況に陥った、普段は見知らぬ市井の人たちが一致団結する、こういう現象、実は好物なんです。 映画とか小説とかで出…
先日、2020東京パラリンピックに出場が内定した女子陸上選手にインタビューをしました。 三重県在住の彼女は、中学3年生のとき交通事故に遭い、右大腿部を切断した、義足の走り幅跳び選手です。 インタビューのあと、練習風景も撮影しました。 「く」の字型…
指し示された地図に従い歩き出したはいいが、 途中から方角を狂わされ迷子になっていく。 しかもその場所は、目印が一切ない砂漠や秘境なんかじゃなく、 ごくありふれた日常だから、余計にぞっとする。 いったいこの人は読者をどこへ連れて行こうとしている…
狩りに出かけた二人の紳士が獲物を得られず腹を空かせた帰り道、「山猫軒」という西洋料理店を見つけ何か食べようと入るが、<靴の泥を落としてください><鉄砲と弾丸を置いてください><帽子と外套を脱いでください><金属類を外してください><クリー…
何回目だかの「TUGUMI つぐみ」(吉本ばなな)を読み終えました。 TUGUMI(つぐみ) (中公文庫) 作者:吉本 ばなな 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 1992/03/01 メディア: 文庫 登場人物もストーリーも起きる事件もすでに十分すぎるほど知っているはずな…