これもあり、なんだ

フリーランスのお友だち〜本・映画・テレビ・ネット

福袋にみる欲望の上書き大作戦

福袋って……在庫一掃処分品の詰め合わせでしょ。
 
そーんな認識が、2019年の年明け早々、一気にアップデートされました。
 
正月の、新聞の、デパートの、福袋広告にみる、福の多様化!
 
 
まずは

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「モテ男に変身福袋」
いいですね〜イリュージョンのように袋をかぶって開けるとモテ男に変身できるなんて。
お値段は110,105円のイイオトコ価格です。けっこうします。高い!というの重要です。安いとモテそうにありません。
 
プロデュースをする人のブログを覗いてみました。
タイトルが「ベリィスィモな毎日」となっていました。
ベリィスィモってなんだ?
どうやらイタリア語でとても素敵なものに出会ったとき、その喜びを表現する最上級のコトバらしい、です。
とても素敵な毎日を送っていらしゃっているようで羨ましい限りです。
 
こういうコトバをさらっとタイトルにできてしまうのが、さすがにいい男、多分、きっと。でもずっとイイオトコであり続けるのは疲れそうです。
だから正月だけでも、年のはじめだけでも、というお誘いなのでしょう。
 
 
 
 
つづいて

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「美尻福袋」
すごいなぁ、お尻がいっぱい詰まった福袋。
桃尻・出っ尻・塩尻沢尻エリカ…なにがはいっているんだろう。
 
こちらは「イイオシリ」の11,046円。お尻というパーツに特化しているからでしょうか、全身イイオトコのおよそ1割というお手軽価格です。
座談会形式のヒップメイク講座なるものもあって、お尻を中心に語り合う姿を想像するととてもそそられます。
残念ながら応募は女性に限られていて覗けません。誰か潜入してください。
 
 
 
なんと!

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「平成最後!<マハラジャ名古屋>バブリー体験福袋 DJ体験イベント福袋」
 
こちらは憧れ!のマハラジャでDJデビューができるそうです。お値段は手軽な3,100円。
 
マハラジャが<懐かし!>ではなく<憧れ!>となってしまうということは、ターゲットは、かつてSCHOOL・OZ・カーニバル・ペントハウスガルボクラブあたりに通っていた世代ではない、ということか。
 
流行もまたスクラップ&ビルドを繰り返していて、一回<それ>を味わって通り過ぎてきた世代にしてみたら、「こんなのが?」が巡り巡って新しい魅力へと生まれ変わっていくことに気付かされ、たいへん勉強になります。
 
 
 
 
さらに驚きの福袋は続きます。

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いわゆるアート・アーチストのワークショップも「福袋」として売り出されています。
募集人数はごくごく限られてはいますが、これまで閉じられていた世界への体験需要はあるんだ、という発見がそこにありました。
 
 
 
 
非日常の体験というと、まっさきに思い浮かぶのは、旅、なんでしょうが、別に異国や秘境や遺跡に行かなくたって、案外身近なところに非日常はあるのです。
 
それは、自分の日常とは別のところに存在する誰かの日常。それが売り物になってしまう。
 
例えば異業種の仕事場、伝統工芸の世界、なにかの製造現場、工房・アトリエなど、モノはもういらない、代わりに「知りたい」「覗きたい」「やってみたい」を満たすためにお金を使う。
大ナゴヤツアーや仕事旅行、キッザニアなんかが人気なのはそれでしょう。
 
 
しかも!
福と名づけるだけで(正月だし)(縁起物だから)(おもしろそう)と心が動く。
 
福と名づけることで(こうなりたいでしょ)(理想でしょ)(はじめるなら今ですよ)と心を動かせる。
 

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欲望は尽きることなく次々と上書きされて、
尽きそうになると本来欲望でもなかったものが欲望へと変換されて、
「これが欲しかったんだ」「これがやりたかったんだ」となっていく。
 
ああ、冷静に冷静に。