出川哲朗になれない私

何食べる?と聞かれた。
「僕はうなぎ」と答えた。
 
とか、
 
「こんにゃくは太らない。」だから安心です。
 
とか、
 
日本人同士で普段通じ合っているこんな文章のことを、「うなぎ文」「こんにゃく文」というそうです。
 
 
最近精度がぐんと高まったと噂の、Google翻訳に闘いを挑んでみました。
 
すると、
 
「I am an eel」「Konnyaku does not get fat」と出ました。
 
 
正直というか融通がきかないというか空気が読めないというか。
 
人工知能さん<略称:AI(エー・アイ)>さんは、省略された「注文します」「食べます」を読み取ってくれず、「AはBだ」を、そのまま「A is(=) B」と訳しやがった。ダメだね。
 
 
単語ごとの対訳から、ニューラルネットワークを活用した文脈把握に進化したとはいうものの、Google翻訳にとって「うなぎ文」「こんにゃく文」のハードルはまだまだ高そうです。
からしばらく翻訳に当たっては、省略した主語述語を加えた、正しく訳してくれるであろう日本語文章をこちらから用意して上げる必要がありそうです。
 
 
こうした使い手からの歩み寄りを繰り返していくことで、クラウドデータがどんどんと収集分析され、AIさんは、<日本語の場合、何かを欲するときの「AはBだ」の中には、欲しい、食べる、注文する、選ぶなどの述語が隠されてるぞ>と学習し、正しい訳へと近づけていくのでしょう。
 
 
 
 
しかし!しかしですね、精度向上のために日本語入力の段階から歩み寄ってね、としても、そんなの関係ない!と強引に知っている単語のみでイングリッシュしちゃう人もいます。
 
その名は、出川哲朗さん。
 
『イッテQ』の「出川イングリッシュ」は、AIによる機械翻訳とは180度異なる路線での進化を遂げています。
 
 
 
空母を、スカイママ
国際連合本部を、ワールドホームセンター
(アルカトラズ)刑務所を、メニメニバッドマンスリーピングハウス
ホテルで部屋を予約する時は、ワンルームキーカモン
 
 
 
出川イングリッシュは、自動翻訳がまだ単語ベースで個別に訳していたAI黎明期以前のイングリッシュで、熟語であろうとなんであろうと(知ってる)単語に分解したり見た目の印象で表したりと、目茶苦茶です。
 
 
しかし!しかしですね。
 
テレビのこっち側で「バッカだなぁ」と笑っているうちに、出川イングリッシュは次第に通じていってミッションをクリアしていくんです。
最初は腹をよじって大笑いしていても、ふと気付いちゃうんです。あのようなコミュニケーションができない自分の愚かさにドキッとしちゃうんです。
 
 
こっち側ができなくて、出川哲朗ができること。
 
それは、恥を恐れず、しっかりと相手の目を見て堂々と教えてほしいという気持ちを全面に出して大きな声で話す、ということ。
 
文法間違ってたら発音違ってたら、そんな自信のなさからときおり目を伏せ小さな声で話す今までの自分の情けなさが、嫌になってきて落ち込みます。
 
 
この先、AIがどんどんと進化し、特定のことだけできる特化型AIだけでなく、人間のすること殆どができる汎用型AIが現れてくると、人間自身が何かをやる、てことが少なくなるでしょう。
 
AIは、ロボットは、失敗しません。
 
人間の代わりを、AIが、ロボットがしてくれるであろう近い将来、人間は「恥」をかく機会も少なくなっているかもしれません。
今だって恥かきたくないから、いろいろと繕ったりごまかしたりしているわけですから、「それはそれはありがたいね〜助かるね〜」
で、ホントにいいのかな、と。
 
 
 
出川哲朗出川哲朗にしかできません。
多くの人は真似ができません。やりません、じゃなくって、できません。
 
笑っちゃてるけど、あれはスゴイと思う。才能です。
恥をかくことを恐れる自分は、百歩譲って今からめちゃくちゃ努力すればオリンピック出場の可能性はゼロではないかもしれず、でも、でも、出川哲朗になれる可能性はゼロどころかマイナスであることを、自分自身が一番よく分かっています。
 
恥なんかなんのその、果敢に挑戦して失敗して笑いに転化させてくれる人たち。
【AIに勝つ】人間のなかに、出川哲朗さんをはじめとするリアクション芸人の方々は必ずいると思うのです。
身体を張って「人間」を楽しませてくれる、自分をさらけ出して「人間」を勇気づけてくれる、自分を題材にして可能性を見せてくれる。
 
そんな人たちこそ、AI時代に生き残っていける人間、では?
 
その予測を自分に当てはめてみると、こりゃヤバイな、と思う、今日このごろです。
 

 

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