「幻の1940年計画」を知って「いだてん」を見るとおもしろいかも

「いだてん」第2部も突っ走っています。
このまま1964までどう引っぱってくれるのか楽しみで仕方ありません。
 
そこで、気になるのは、1940年に開催される予定だった幻の東京オリンピック
 
これは「いだてん」で描かれるのかどうか。
 
 
1964年に先立つこと24年前の1940年、東京でオリムピックが開催されるはずだった。これ、ホントの話。
実際1936年にIIOCで投票の結果採択され、40年開催に向けて着々と準備が進んでいたといいます。
 
 
しかし現実は、オリンピック返上。
どうやらスタジアムを作る鉄がなくなったからとか。つまり兵器をつくるために鉄が必要で、スタジアム建設のために鉄を使うことができなかった。
 
 
 
1940年は、東京オリンピック以外には、万国博覧会、テレビ放送、弾丸列車(新幹線)が開催、計画されていたエポックメーキングな年になるはずだった。
 
この本は、そんな幻の1940年計画について書かれています。

 

幻の1940年計画―太平洋戦争の前夜、“奇跡の都市”が誕生した

幻の1940年計画―太平洋戦争の前夜、“奇跡の都市”が誕生した

 

 

著者は、ホイチョイブレーンの指南役だから軽い気持ちで読むことができます。
 
 
 
 
教科書で習った1930年代というと軍靴が響く物騒な時代だと教えられていて、現実でも1931満州事変、1932五・一五事件、1933国際連盟脱退、1936二・二六事件などが立て続けに起きています。
なかでも国際連盟脱退は世界からの孤立化のように習ったし、そんななかどうして東京オリンピックに立候補し、しかも世界から採択の票が得られたのか。
「幻の1940年計画」によるとずばり外交力だとしています。
 
当時の日本のIOC委員は、嘉納治五郎、岸清一(この二人は「いだてん」でもお馴染み)
と、外交官杉村陽太郎。
しかし1933年に岸清一が死去し、後任に副島道正という人が就任し、この副島という人がオリンピック招致のキーマンとなっていくのです。
 
しかし、この本には田畑政治の名は出てこない。1930年代にはまだそれほど力を持っていなかった、てことなのかな。
でも、副島、杉村という名を覚えておくと(出てくるかどうか分かりませんが)「いだてん」の見方に別の楽しさが加わります。
 
 
 
 
 
教科書的に見ると、たしかにこの時代は戦争だの侵攻だの満州だのの文字が並んでいる。
でもどうやら一般市民の間ではかなり華やかなで、経済も娯楽も賑やかで人々は日々の暮らしを満喫していたようです。黄金の40年代を待ちわびていた時代。
おそらくムードとしてはオリンピックが東京で開かれてもおかしくはなかったんでしょうね。
 
全国のあちらこちらに百貨店ができ、近代的な建物もでき、映画も絶好調で、カフェなど新しいスポットができて若者たちがデートを楽しむ。
どうやら1930年代はそんな空気だったようで。
 
それが1940年になって一気に、今私たちがよく知るあのくらぁーい戦前に変わってしまった。
ガラッと変わってしまった年だったんですね。
 
 
そんなこんなを知った上で「いだてん」のような現代史を描いたドラマを見ると、また違った見方ができておもしろそうです。
 

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