そこにブレイブはあるか?「注文をまちがえる料理店」こそクリエイティブ

「注文をまちがえる料理店」なる店が期間限定でオープンしたらしい。

東京のお話なので、地方ではニュースや記事でしか触れることできないが、気になる。

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写真を見る限り笑顔があふれるとてもステキな空間のようで、ああ、これがクリエイティブというものの、正しい、というか望ましい発揮のされ方なんだろうな、と。 
堂々と「まちがえる」とうたっているからお客さんは承知の上で訪れるだろうし、「まちがえる」ことから始まるかもしれないストーリーやコミュニケーションを楽しみに変えることだってできてしまう。
 
こういうのってデザインの果たす役割は、ホント重要。 
 
期間限定だからお金をかけられない、なーんて考えると、色とりどりのマーカーを使った手書きの店名看板や手作りの花飾り(西野亮廣氏はこれを<ババア花>と呼んでいる)を散りばめた、途端に公民館的な催しになってしまうから危険です。
みんなで善いことやってます感が、訪れる側にも重くのしかかってくるから辛いです。
 
 
(なつかしのゲバゲバ90分を思い出す)「あ、まちがえちゃった」の舌出しマークに出迎えられたらもう楽しむしかないですからね。
 
 
この企画を知ってすぐに思い出したのが、ちょっと前に読んだ本のなかの、こんな話。

 

公園対談 クリエイティブな仕事はどこにある?

公園対談 クリエイティブな仕事はどこにある?

 

 

国際的な広告祭で審査委員長を務めている人が、どんな基準で広告を審査するかと聞かれてこう答えました。
 
 
「ブレイブ(勇敢)であるかどうか」
 
「勇敢さと臆病さは同居していて、勇敢にものを伝える時には、自分がほんとうにこれを言っていいんだろうかというドキドキした臆病さと葛藤しなくてはいけない。葛藤しないでいきなり出ていこうとするのはただ無謀でしかない。
 
無謀と勇敢は違っていて、いろいろ怖がって、自分の中では試行錯誤しながらそれでもやることに意味がある。外に出ていく姿勢が勇敢さであって、それが審査基準ではないか」と。
 
つまり、こんなことを言うと駄目なんじゃないかとか、こんなことをすると問題が起きるんじゃないかと思えることを、あえて言い切る、やりきる、ということ。
 

 

 
「注文をまちがえる料理店」には、この勇敢さが見事にありますね。
当然批判する人はいるでしょうし、最初からそれも織り込み済みなんでしょう。
でも、発想から企画・準備の間の試行錯誤のなかに、やることの意味をしっかりと見出して形にする<勇敢さ>がありますね。ブレイブストーリーです。
 
 
「ブレイブであるかどうか」の文章は、自分にも向けられているツライ問いかけでもあってずっと記憶に残っていて、でも今ひとつそれがイメージできていなかったけど、(イメージできないフリをしていた、かも)
今回この「注文をまちがえる料理店」を知って、ああ、ブレイブとはこういうことかもと、思う、月曜日の朝なのです。