ユーミンがもう歌ってた タピオカの魅力のことなら

第二次世界大戦が勃発する前までの第一次世界大戦は、おそらく第一次なんて冠はついていなく、のちに第二次にあたる、世界規模の戦争があったから、あとになって第一次世界大戦と名づけられたに違いありません。
 
 
タピオカがいま、第2次(第3次)ブームだとか。
てことは第一次があった?
 
20年ほど前だというけれど、それ、ぜんぜん覚えていません。
いまだって身近に♪タピオカ♪タピオカ♪と踊っている人いませんから、タピオカに関してはどこかの田舎に疎開している感覚です。
 
それでも、リアル店舗を取り囲む行列の長さによってブームを実感することはできます。
 
 
よく見かけるのは名古屋は栄のサカエチカにある、ほらあれ、どうにも名前が覚えられなくって「なんだっけポラギノールみたいなタピオカの店」としか言えなく、いかんこれじゃタピハラになってしまうと、この前しっかりと店名を確認しました。
 
 
「ノナラパール」でした。

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その日もサカエチカを西から東に歩いていると、ノナラパールが見えてきました。
 
 
店舗前の行列のしっぽは短く、ブームブームというわりにこれならすぐ買えそう(でも買わない)と思ったら、そんなには甘くはなかった。
 
隣りの店の邪魔にならないよう少し離れた、地下から地上へとつづく通路に行列の続きははしっかりと復活していたのです。
 
それはまるで大木のずぶとい根っこが思わぬところの地面から顔を出しているようで、さすが芋の根であるタピオカです。
 
 
 
 
そもそもタピオカってなんだ?
前回のブームを知らないからタピオカのこと、よく分かりません。
 
今回一応調べてみたらキャッサバという芋の根からとったでんぷんとのことらしい。
でんぷん。
 
てことは、炭水化物じゃないですか。
 
みなさん、カロリー大丈夫ですか?でんぷんですよ。
 
でも、カロリーが高いのは乾燥した状態のときで、ドリンクに入れるなど水っ気が加わるとそんなにカロリーは高くはならないようです。
ま、こんなこと言われなくてもとっくに知ってますわね。余計なお世話でした。
 
 
 
 
まだタピオカは飲んだことないから美味しいのかどうかは分かりません。
でも、「タピオカ TAPIOKA」というコトバの響きは、軽やかで気持ちよさを感じます。
 
 
 
冷えたドリンクのなかで黒いつぶつぶが浮かんだり沈んだりする様子も愛らしく、「冷えピタ」って感じがします。
 
ストローのなかを黒いつぶつぶが一列になって流れている様子も「ピタゴラ」って感じがします。
 
 
 
「タピオカ」それは好感度抜群の音節です。
 
 
 
さて、この「タピオカ TAPIOKA」に似た響きの気持ち良さに、1979年すでに気づいていた人がいます。
 
 
 
名アルバム「悲しいほどお天気」のなかに「緑の町に舞い降りて」という名曲があります。

 

悲しいほどお天気

悲しいほどお天気

 

 

緑の町に舞い降りて

緑の町に舞い降りて

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(たぶん)恋人らしき人に逢うために、国内線飛行機で岩手は花巻空港に降り立つときの様子を歌っています。
まもなく花巻空港に到着するという時、機内放送で到着地の気象がアナウンスされます。
 
 
 
その光景を、ユーミンはこう歌っています。
 
♪〜
着陸間近のイヤホンがお天気知らせるささやき
MORIOKAというその響きがロシア語みたいだった
〜♪
 

 

 
MORIOKA(盛岡)と歌ってはいますが、盛岡市には空港はなく、実際には花巻空港
 
でもユーミンはHANAMAKIではなく、あえてMORIOKAとしているのです。
事実よりも響きを優先させたのですね。
 
 
HANAMAKIとMORIOKA。
 
KIとKA.
 
 
「きi」はどこかそこで集結してしまう印象がありますが、「かa」はなんとなく一歩踏み出しそうな印象を感じます。全く根拠はありませんが。
 
 
ふつうに情景だけを歌えば、事実通りHANAMAKIでいいのに、あえてMORIOKAとしてしまうところがユーミンのすごいところで、大切な人にもうすぐ逢えるという高揚感期待感や(ロシア語の響きに似ているという)エキゾチックな思いが数時間かけて訪れた旅の非日常感を感じさせてくれます。
 
 
 
「緑の町に舞い降りて」は、このあと
 
♪〜
三つ編みの髪をほどいてごらん
タラップの風が肩にあつまる
〜♪

 

 
と続き、
今ではもうタラップなんてほとんど使うことのないけれど、
機内から外へ出て感じる空気の心地よさと、三つ編みをほどくことで「女」へと切り替える思いの強さが伝わってきます。
さすが、ユーミンです。
 
 
 
 
柳澤真実という歌人がいて、その人の短歌に、
 
ユーミンがもう歌ってる 特別な恋をしてると思ってたけど】
 
というのがあります。
 
 
歌われている恋の種類だけでなく、こうした小さなコトバから思い至る予感やら感覚までもメロディにのせていて、ああ、恋だけじゃないんだユーミンがもう歌ってるのは、と今更ながら驚きます。
 
 
 
 
さて、タピオカに戻ります。飲んだこともなく冷ややかに行列を眺めているオヤジは、あれホントに美味しいの、と思っちゃいますが、どうやらそんなことは大したことじゃないようです。
 
 
Twitter眺めていたらこんなのが流れてきました。

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ああ、いつの間にか自分基準というのに陥っていました。
 
 
タピオカを思う時、タピオカというドリンク、つまりモノしかとらえていなかったのですが、
「時間」なんだ、と。
 
 
 
たしかに、別に酒が好きだから飲みに行くんじゃなく、誰かとムダ話をするのが楽しいから酒の席に行く。
 
 
オヤジたちは冷ややかに「タピオカなんて〜」「どこがいいんだ」と口にするけど、ひっくり返せば「お酒って美味しいの」「なんで酔っ払うまでお酒の飲むの」と問われているのと同じことなんだ。
 
 
スルッと流れてきたTwitterに本質的なことをつきつけられたような気がして、ここ最近「タピオカ的」なことなんかあったっけ、と考えても思い当たらない自分に愕然とします。
 
 
 
よし、じゃあ、「タピオカ的」な感動を求めて
 
明日は「感動パンツ」履くか!
 
はちょっと違う気もする。