開始早々10分ほどで眠りに落ちてしまった映画。
はっと目が醒めてしばらく経つとまた眠くなる映画。
気づくと、うわ、すでにエンド近くの1時間46分あたりになっていた。
残るエンドロール込みの7分を、しっかりと観ました。
と、うん?なんだこの映画は…傑作なのか?いや、快作?怪作?
映画は頭っから観なくてはいけない、なんて誰が決めた?
ラストから順に前へジャンプする見方があってもいい。
覚醒と睡眠は映画の新しい見方を教えてくれた。
クエンティン・タランティーノ「デス・プルーフ」は(エンドロール込みの)ラスト7分前から観よう。
そこでは2台のクルマがチェイスをしていた。
逃げるはおっさん(カート・ラッセル)。
追いかけるは女性3人。
「覚悟しな!とんだイカれ野郎!」
女性たちは叫ぶ。
おっさんは逃げる。
女性たちは追う。追い詰める。横に並ぶ。
並ばれたおっさんは訴える。必死で訴える。
「ごめんなさい。悪気はなかった。ふざけてただけ」
そんなコトバに女性たちはなびかない。
タランティーノ映画の女性たちは泣き寝入りをしない。
絶対に許さない。
特にこの映画の女性たちは頼もしい。
その結果…
数分後、THE ENDマークが表れる。
なんてことのないベタなシーンだけどこの喝采感はなんだろ。
同時にエンドクレジット曲〜エイプリルマーチ「Chic Habit」がはじまる。
はじめて聴く曲だけどなんという爽快感。シンプルなリズムの繰り返しが耳に残り中毒性を高めてくれる。
元は60年代のフレンチで「娘たちにかまわないで」「女の子を放っておきなよ」て歌っているらしい。
放っておけばよかったのにおっさん、あなたのことよ。
と、エンドに相応しい強烈な曲です。
というようにたった7分で「デス・プルーフ」の快作感を知りました。
このあとちょいちょいと部分的にジャンプして前に戻り、
あのおっさんの目的や女性たちの強さの秘密を知り、
さらには眠ってしまったガールズトークもしっかり聞くとおもしろいじゃん、
&前半の1時間と後半の1時間は別々なんだと気づき、
でもって最終的に後半の1時間だけで十分だなという結論です。
満員電車での痴漢…
すれ違いざまのぶつかり…
ねちねちハラスメント…
そうした現場で発覚しても「ごめんなさい。悪気はなかった。ふざけてただけ」と逃げようとする輩に辟易している人に贈ります。