話題になった印象的な文章がこれ。
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一つの国が文明国家であるかどうかの基準は、高層ビルが多いとか、クルマが疾走しているとか、武器が進んでいるとか、軍隊が強いとか、科学技術が発達しているとか、芸術が多彩とか、さらに、派手なイベントができるとか、花火が豪華絢爛とか、おカネの力で世界を豪遊し、世界中のものを買いあさるとか、決してそうしたことがすべてではない。基準はただ一つしかない、それは弱者に接する態度である
なんか最近の<いろいろ>を眺めていると、最後の一文がじわじわと効いてきます。
国家という大きな単位での「弱者に対する態度」がおろそかだと、構成要素である個々のあれやこれやも順繰りにおろそかになってくるというか、おろそかでもいいや、てな感覚が芽生えたりもするようで、本質を突きつけられたかのようです。
とかなんとか考えているときに読んだ小説が「52ヘルツのクジラたち」(町田そのこ)
まさに「弱者に対する態度」の描き方に涙させられる一冊でした。
タイトルにある52ヘルツのクジラとは、普通のクジラとは周波数が異なるクジラのことで、近くにいてもすれ違っても仲間にはその鳴き声が届かない。
この小説は、それでもその声に気づいてくれる人はいるんだよ、という救いの物語です。
それぞれが見せる「弱者に対する態度」がもどかしくも優しく、不器用ながらも親身で、そして次第に力強いものへと変わっていく姿は感動です。
『文明国家であるかどうかの基準はただひとつ、弱者に対する態度である』の一文が少しでも心にひっかかった人にお薦めの一冊です。
映画でのお薦めはこれ
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