怪物はすぐそこにいる〜「地獄が呼んでいる」

面白いとか面白くないとか、
グロいとかグロくないとか、
そんなの通り越して<スゴイ>としか言いようがない、私的には歴史的な怪作だと感じています。
 
「地獄が呼んでいる」
 
第1話を見た段階では、いったいあの怪物の正体をどう納得させるんだと制作側の心配をしてしまいましたが、2話以降は、怪物の正体について考えるのは無意味だと気づいてしまった。
 
 
あれは、単なる「現象」なんだ。「メタファー」なんだ。「素材」なんだ。
 
 
不可思議な現象が起きたとき、なんで!どうして!と、そこに意味が見いだせないと人々は不安になり、時にパニックに陥ってしまう。
 
そんなときに現れるのが、その「現象」に自分たちに都合の良いように「意味」を与える存在。
いったん誰かが「あれは◯◯なんだ」と(意味なき)意味を与えてしまうと、途端に「現象」は形をもって立ち上がってきて、「じゃあ自分は関係ない」と余裕ぶったり、「自分は関係しているかも」と意味に頼ろうとしてしまう。
 
意味に頼る者が多くなればなるほど、意味付けをした人間(集団)は、力を強大化させ、世界を支配していく。
 
恐ろしいのは、支配した側が示した意味や法則に合わない事象が起き始めると、意味が意味なきものとなってしまい支配が及ばなくなってしまうので、意味なき事象を排除しようとすること。
 
 
なんかこれ、「地獄が呼んでいる」で描かれた宗教の世界だけでなく、見回せばもっと身近にいっぱいある。
 
 
一度ウソをついてしまったら、そのウソとウソをついた人を守るためにウソがばれてしまう証拠を隠したり改ざんしたり口止めしたりする。とか。
 
無駄だと分かっていてもどこかの倉庫に膨大に保管されているなんとかマスクを処分できないのはなんとかマスクをはじめた人の失敗を認めてしまうことになるから処分できない。とか。
 
怪物は人間の形をしているから気づけないけれど、すぐそこにいる。