アーティストは生命維持に必要なもの。それに近いコトバを今の日本に望むのはむずかしいのか。

「マイナスとマイナスをかけるとどうしてプラスになるんだ?!わかりやすく教えてくれー!」
 
 
マキタスポーツプチ鹿島サンキュータツオのおっさん三人が、ぐだぐだgdgdグダグダどーでもいい(けれど、案外深い)話をする東京ポッド許可局というラジオ番組(Podcast)があります。
東京ポッド許可局

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番組内でのマキタスポーツの叫びに、激しく同意です。
 
そう!そうなのだ!
数字との濃厚接触を10代半ばにして早々諦めてしまった身としては、
そう!そうなのだ!
マイナスにマイナスはプラスなのに、借金に借金はどうしてGo to Hellになってしまうんだ?!
 
 
東京ポッド許可局では、マイナス✕マイナス→プラスを理解するための<たとえ>を、いくつか取り上げていました。
 
なかでも「なるほどぉぉ」と唸ってしまったのがコレ。
 
 
 
<敵味方で考える>
味方(+)の味方(+)は味方(+)
味方(+)の敵(ー)は敵(ー)
敵(ー)の味方(+)は敵(ー)
敵(ー)の敵(ー)は味方(+)
 
 
数学的にはなんの証明にもなってはいないのでしょうが、文系としては食らいついてしまう好物な例えで、妙に納得させられてしまった。
 
 
 
 
 
 
さて、
 
 
 
 
 
 
谷川俊太郎さんが文を書き、Noritakeさんが絵を描いた『へいわとせんそう』という絵本があります。
へいわとせんそう

へいわとせんそう

 

 

同じモノ・コトでも「へいわ」と「せんそう」では、居る場所、服装、行動、手にするもの、そして表情がまったく異なる。
そんなメッセージを、谷川さんのコトバとNoritakeさんのイラストで表しています。
ともにシンプルな表現だからストレートに響いてきます。

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「へいわの◯◯」と「せんそうの◯◯」と見開きで両者の比較がずっと続いていき、最後
の3つだけ、「みかた」と「てき」に分かれます。

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「みかたの◯◯」
「てきの◯◯」
 
 
そこに描かれていたのは…
 
 
あ…
 
 
そうか、当たり前のことなんだ…
 
 
 
当たり前のことだけど、どきっとしてしまった。
 
 
 
それらを見ると、味方をプラス(+)、敵をマイナス(ー)と区分することの無意味さ、身勝手さに改めて気づかされます。
 
こっち側から見たらマイナス(ー)である人も、
そのマイナス側から見たらプラス(+)な人で、
しかも、
マイナス側にいる人全員が敵(ー)であるとは限らず、もっと小さな単位で見るとプラスでもマイナスでもない弱い立場の人もいて、
さらには、
現時点は敵(ー)であっても、いつどこでプラス(+)に逆転してしまうかもしれず、その逆もまたあり得る。
 
味方と敵という意味での(+)と(ー)はどこに視点を置くかでくるくる入れ替わり、一定じゃない。
 
おそらくそこが数学との大きな違いで、そういう不確実な心の動きが文学や芸術を生み出してきたんでしょうね。
 
 
 
 
2020年4月7日緊急事態宣言が発令されました。
映画館も美術館も劇場もライブ会場もどんどんと自粛のもと閉まっていく。
 
 
 
先に外出禁止となったドイツの文科相が言っていました。
 
「クリエイティブな人々のクリエイティブな勇気は危機を克服するのに役立つ。
私たちは未来のために良いものを創造するあらゆる機会をつかむべきだ。
そのため、次のことが言える。
アーティストは必要不可欠であるだけでなく、生命維持に必要なのだ。特に今は」
(モニカ・グリュッタース文化相)
 
 

 

 
生命維持に必要、ってすごいコトバ。
その必要性を常に実感しているから生まれるコトバ。
インフラと同等に捉えているコトバ。
医療とは別の形〜精神面〜での貢献を認めているコトバ。
 
こんなコトバが添えられた支援があると、アーティストたちは自粛期間にしっかりとクリエイティブパワーを充電させることが出来るんでしょうね。
そして、収束できたタイミングに、多くの人に力を与える<創造>を送り出してくれるんでしょうね。
 
 
 
日本という国、好きで誇りに思っているけど
Afterコロナの、その時の、差を想像するとちょっと怖い。
 
 
感染というマイナスと経済打撃というマイナスが掛け算されてプラスへと転じますように。