今日マチ子「Distance わたしの#stayhome日記」

きょうまちこ と聞いてどんな漢字を思い浮かべるか。 ここはあえて、「京」ではなく、「今日」の方で。 漫画家でありイラストレーターである 今日マチ子さんの「Distance わたしの#stayhome日記」 Distance わたしの#stayhome日記 作者:今日マチ子 rn press …

タイトルの頭に「ゴダールの」って付いてるのはなんで?

2021年9月6日、ジャン=ポール・ベルモンドが亡くなりました。 といっても享年88歳だから現役時代を殆ど知らず、ずっと後になって見た「勝手にしやがれ」と「気狂いピエロ」ぐらいでしか、その動いている姿を知りません。 追悼の意でちょっと見返してみるか…

どこへ向かうんだろう「ブランクスペース」

空襲で京都全市が火に包まれないか、明日こそ金閣が焼けるだろうと夢見るが、待てども待てども京都は空襲に見舞われない。そのもどかしい想いを、三島はこう表している。 ともすると早春の空のただならぬ燦めきは、地上をおおうほどの巨木な斧の、すずしい刃…

憲法の当たり前

【あたりまえのことしか書いていないなと憲法読めり十代の夏】 by俵万智「未来のサイズ」 未来のサイズ 作者:俵 万智 発売日: 2020/10/02 メディア: 単行本 そもそも憲法って 過去権力側が侵した過ちを繰り返さないようにしましょうね、 ってことをまとめた…

「アンコンタクト 非接触の経済学」

秘書がやった私が知らなかった。コンパニオンは感染対策。飯を食うのがなんで悪い。お答え差し控える。誤解を招いたとしたら。エビデンスはない。その指摘は当たらない。ウイルスに打ち勝った証として。 まあなんとも、どれもこれも虚しくうすら寒い言葉が吹…

「村上春樹のせいで」のように堂々と好きを言えたらどんなに幸せか

" data-en-clipboard="true">これはとても個人的な話なんだけど、「1Q84」以降、村上春樹とはとんと離れてしまった。 " data-en-clipboard="true">今では新作が出ても、今年の新語流行語語大賞はなんだろ程度の関心しかなくなってしまっている。 初期中期の…

自分と向き合う時間が一番の恐怖〜アガサ・クリスティ「春にして君を離れ」

思いがけずできてしまった膨大なる時間。話し相手も読む本も(もちろんスマホも)ない。 その時間は、まぎれもないヒマ。 つぶす道具を一切持ち合わせていないときのヒマは、危険です。 思考のすべてが、一直線に、自分自身に向かってしまう、から。 アガサ…

自分は「おじさん」かそれ以外か?「持続可能な魂の利用」で見つめ直す日々

8月✕日読了。これは、これは、現代版「日本沈没」じゃあないかい。 「おじさん」が支配する国・日本。 「おじさん」たちによって消費の対象とされている少女たち。 (「おじさん」作詞による)革命の歌を歌う(「おじさん」によって演出されている)アイドル…

タブーに挑む女子高生に拍手を!「ガール・コード」

5〜6年前のことです。 ある食事の席で、20代前半の女性数名と同じテーブルになりました。 ドラマやアイドルや流行など、どうってことない話題について話していたのですが、気づくとなぜか話題が「生理」に移っていました。 彼女たちは「生理になると◯◯だよ…

弱者に対する態度を考えた「52ヘルツのクジラたち」

中国・武漢の作家・方方さんが、ロックダウン中に毎日オンライン発信していた「武漢日記」というのがあります。 武漢日記:封鎖下60日の魂の記録 作者:方方 発売日: 2020/09/08 メディア: 単行本(ソフトカバー) 話題になった印象的な文章がこれ。 ↓ 一つの…

次読み返すとしたらそれはいつだろう「仕事本 わたしたちの緊急事態日記」

気づいたら今年はもう8月?! 上半期を奪っていったのはコロナ以外何者でもなく、特に緊急事態を挟んだ「春」はあったのか、さえ、怪しい。 『仕事本 わたしたちの緊急事態日記』 仕事本 作者:尾崎世界観,町田康,花田菜々子,ハイパーミサヲ,瀧波ユカリ,ヤマ…

アーティストは生命維持に必要なもの。それに近いコトバを今の日本に望むのはむずかしいのか。

「マイナスとマイナスをかけるとどうしてプラスになるんだ?!わかりやすく教えてくれー!」 マキタスポーツ&プチ鹿島&サンキュータツオのおっさん三人が、ぐだぐだgdgdグダグダどーでもいい(けれど、案外深い)話をする東京ポッド許可局というラジオ番組…

言い表せられない感情に出会ったら〜「翻訳できない世界のことば(LOST IN TRANSLATION)」

ポリシー、なんてものではなく、スーツを着るとき以外、シャツはスボンのなかに入れない。そう決めています。 単に裾がシワになるのがイヤ、身体が二分割されるような感覚がイヤなだけですが、周りは、いい年してだらしない男、と思ってるんだろうな。 そん…

イタリアベランダ合唱を見て〜日本だったらなにを歌うんだろう?あ、あれか!

コロナウイルスで外出できないイタリアの人たちがベランダで国歌やオペラを演奏したり歌いあっているようで。 www.bbc.com 困難など、同じ状況に陥った、普段は見知らぬ市井の人たちが一致団結する、こういう現象、実は好物なんです。 映画とか小説とかで出…

体は地層のようなもの。伊藤亜紗「記憶する体」を読んで

先日、2020東京パラリンピックに出場が内定した女子陸上選手にインタビューをしました。 三重県在住の彼女は、中学3年生のとき交通事故に遭い、右大腿部を切断した、義足の走り幅跳び選手です。 インタビューのあと、練習風景も撮影しました。 「く」の字型…

今村夏子芥川賞受賞第一作「的になった七未(なみ)」もまたどこへ連れて行かれるかわからない物語

指し示された地図に従い歩き出したはいいが、 途中から方角を狂わされ迷子になっていく。 しかもその場所は、目印が一切ない砂漠や秘境なんかじゃなく、 ごくありふれた日常だから、余計にぞっとする。 いったいこの人は読者をどこへ連れて行こうとしている…

「日本が世界の真ん中で一番輝いた年」とかいう仰天発言の2019年にこそ読み返すべき伊坂幸太郎「魔王」

狩りに出かけた二人の紳士が獲物を得られず腹を空かせた帰り道、「山猫軒」という西洋料理店を見つけ何か食べようと入るが、<靴の泥を落としてください><鉄砲と弾丸を置いてください><帽子と外套を脱いでください><金属類を外してください><クリー…

「TUGUMIつぐみ」(吉本ばなな)はいつ読んでもきらきらの言葉に出会える

何回目だかの「TUGUMI つぐみ」(吉本ばなな)を読み終えました。 TUGUMI(つぐみ) (中公文庫) 作者:吉本 ばなな 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 1992/03/01 メディア: 文庫 登場人物もストーリーも起きる事件もすでに十分すぎるほど知っているはずな…

「秘密の質問」に正直に答える必要ない〜岸本佐知子「ひみつのしつもん」を読んで

お気に入りの翻訳家に岸本佐知子さんという人がいます。 ミランダ・ジュライ「最初の悪い男」/ルシア・ベルリン「掃除婦のための手引き書」/ショーン・タン「セミ」など、著者のことはよく知らないけれど、岸本さん翻訳ということで手にとった本もいくつか…

向田邦子の新作が読めない代わりに今村夏子を読む

望んでも願っても悲しいかな、もう新作が読めない作家のベスト1は、向田邦子です。 今日8月22日は彼女の命日。飛行機事故で亡くなって38年ほど経つんですね。 「寺内貫太郎一家」や「時間ですよ」の頃は、向田邦子という天才の名はほとんど知りまませんでし…

その「半分こ」にあきれるか、おもしろがれるか。内藤ルネの「半分」におどろく

もう過ぎてしまいましたが7月6日はサラダ記念日でした。 俵万智さんの短歌というのは、基本シンプルな言葉を使っているゆえ、一読で素直に感じ入ることができます。 例えば、 「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ 大きければいよ…

「ドキュメント72時間」が好きな人にお薦めしたい「フィフティ・ピープル」

NHKの「ドキュメント72時間」が好きで欠かさず見ています。 www4.nhk.or.jp たまたま同じ場所の、たまたまの3日間の、たまたまの人たち。 登場する誰もがみな輝いているわけではなく、つらい状況にいたり、何かが終わろうとしていたり、始まろうとしていたり…

「幻の1940年計画」を知って「いだてん」を見るとおもしろいかも

「いだてん」第2部も突っ走っています。 このまま1964までどう引っぱってくれるのか楽しみで仕方ありません。 www.youtube.com そこで、気になるのは、1940年に開催される予定だった幻の東京オリンピック。 これは「いだてん」で描かれるのかどうか。 1964…

教科書には載らない川端康成がホントはおもしろい

<たちの悪いいたずらはなさらないで下さいよ、眠っている女の子の口に指を入れようとなさったりすることもいけませんよ。と宿の女は江口老人に念を押した。> <「片腕を一晩お貸ししてもいいわ。」と娘は言った。 そして右腕から肩をはずすと、それを左手…

山里亮太&蒼井優の会見を見て「分人主義」における<愛>の姿を見つけてしまった。

芸能人の誰と誰がくっつこうが離れようが、わが日常は変わらずゴミ捨てに行かなくちゃいけないし、朝ごはんも食べなくちゃいけない。 朝ごはん食べながらテレビ見てたら、どこのチャンネルもあの二人の会見映像ばかりで、あーあと録画しておいた「デザイント…

それはホントに偶然か?「偶然仕掛け人」に仕掛られたい

会うべくして会う運命の出会いというのがあって、 運命というからには必然のような気がするけど、 出会いそのものは偶然にすぎなく、 それを運命とか必然に引き寄せるのは やはり本人次第ということになってしまう。 これは恋とか愛とかに限るだけじゃなくっ…

いつものコンビニで僕はなんて呼ばれているかふと気になって

よく見かけるんだけど<その人>の名前は知らない。 でも時に<その人>のことを話題にしなくちゃいけない。 「ほらほら、あの人」だけでは「あの人って誰?」となり、別の人を思い浮かべてしまうかもしれない。 そんなとき必要となるのが、仲間内だけで通じ…

「82年生まれ、キム・ジヨン」を読むべきは<昔は良かったけど今だダメ>と【今】に文句を言う男性だ

82年生まれ、キム・ジヨン (単行本) 作者: チョ・ナムジュ,斎藤真理子 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2018/12/07 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (2件) を見る はじめて読んだ韓国文学。 ちょうど読み終えたタイミングで何気な…

小心者にとって平成から令和は絶好の変わるチャンス

令和へのカウントダウンがはじまっています。 その日まで<何者>にも襲われなければ、昭和ー平成ー令和と、3時代を生きていく男となってしまう。 若い頃は、「あの人明治生まれ」と聞くだけでその人は歴史上の人物に思えてしまってそれだけ昭和の時代は長か…

善良なる横道世之介に再び出会えた喜び

1ページ1ページがなんとも愛おしくて、いつまでも主人公に寄り添いたくなる小説があります。 前作から10年ぶりの続編「続 横道世之介」(吉田修一) 前作の結末に衝撃を受け、でも「ああ、世之介らしいな」と納得したものですが、続編ではこれまた見事に世之…