スマホを落としただけなのに〜あいちトリエンナーレ【ヘザー・デューイ=ハグボーグ「Stranger Visions」】

<熱中症の危険あり>の通知が毎日のようにスマホに届いた8月のある日、そのスマホをなくしてしまった。 気づいたのは、乗り換えのため駅のホームを歩いていた時。 家に置いたままか。 いや。 自宅最寄り駅の改札は通った。マナカはスマホケースに挟んである…

「なんだかなぁ〜」の日々の清涼剤 Black Sheep Films

どうかあおり運転に遭いませんようにと祈り運転しなくちゃいけないなんて変だし、 減らして軽くするはずの軽減税率のややこしさが逆に負担を増やしているという矛盾にも呆れるし、 2023年から始まるインボイス制度どうしよう、って言ってる内に4年なんてあっ…

あいちトリエンナーレ【毒山凡太朗「君之代」】

四間道・円頓寺S11。毒山凡太朗「君之代」 aichitriennale.jp その作品は、高齢の男性女性数人がただインタビューに答え、ただ歌を歌っている映像。 ところがその「ただ」が、単なる「ただ」じゃないから見続けてしまう。 登場するのは、日本統治時代に日本…

あいちトリエンナーレ【キュンチョメ「声枯れるまで」】

過去4回のトリエンナーレすべてに一応足を運んでいますが、今年ほど真剣に観ている回はありません。 「世界は感情に振り回されているのではないか」 「その感情は情報によって煽られているのではないか」 「情の時代」というテーマを意識して観ると、それぞ…

あいちトリエンナーレ【キャンディス・ブレイツ「ラヴ・ストーリー」】

愛知芸術文化センター8階A33。 キャンディス・ブレイツによる「ラヴ・ストーリー」 キャンディス・ブレイツ(A33) | あいちトリエンナーレ2019 そこは、ふたつの部屋で構成されています。 入ってすぐ、ひとつ目の部屋には、大きなスクリーンがあって、見ると…

あいちトリエンナーレ/袁廣鳴(ユェン・グァンミン)「日常演習」〜日常のなかの非日常。

愛知芸術文化センター8階A19の部屋で、今村洋平の1万回インクを刷って重ねたシルクスクリーンの作品を見ていた。 先程からその展示に似つかわしくないサイレンのような音が漂っている。 どこからだ? 隣室のA20からのようだ。 暗幕をくぐり、A20に入った。 …

最後の「、」が大事 な「バリバラ愛の不自由、」の前にあいちトリエンナーレに行ってきた

とりあえず芸文だけだけど、やっと行けた「あいちトリエンナーレ」 いろいろとご意見あるでしょうが個人的に今回のあいトリは非常におもしろい。 多くの人は、美や教養や感動や高尚を求めて「美術展」に足を運ぶわけですが、それはまあ「美」術ですから納得…

向田邦子の新作が読めない代わりに今村夏子を読む

望んでも願っても悲しいかな、もう新作が読めない作家のベスト1は、向田邦子です。 今日8月22日は彼女の命日。飛行機事故で亡くなって38年ほど経つんですね。 「寺内貫太郎一家」や「時間ですよ」の頃は、向田邦子という天才の名はほとんど知りまませんでし…

映画「ひろしま」の衝撃がいまだ残る2019年の夏

www.nhk.or.jp なんともすごい映画を見てしまった。 テーマというものを、愛だの恋だの青春だのに包んでどうぞ探してくださいというようにエンタメ性を高めた映画を見慣れている身としては、かなりこたえました。 これ以上はない直球、どストレートです。 原…

「選挙なんか行かない」理由はどこにある?

20代の半ばまで選挙なんて行ったことなかったからエラそうなこと言えないけれど、 投票率が戦後2番めの低さだって? 驚きです。 この驚きです、の意味は関心の低さ、 という点ではなく、 動向を見誤る世界にどっぷり浸かってしまっているのがヤバイな、とい…

その「半分こ」にあきれるか、おもしろがれるか。内藤ルネの「半分」におどろく

もう過ぎてしまいましたが7月6日はサラダ記念日でした。 俵万智さんの短歌というのは、基本シンプルな言葉を使っているゆえ、一読で素直に感じ入ることができます。 例えば、 「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ 大きければいよ…

「ドキュメント72時間」が好きな人にお薦めしたい「フィフティ・ピープル」

NHKの「ドキュメント72時間」が好きで欠かさず見ています。 www4.nhk.or.jp たまたま同じ場所の、たまたまの3日間の、たまたまの人たち。 登場する誰もがみな輝いているわけではなく、つらい状況にいたり、何かが終わろうとしていたり、始まろうとしていたり…

「幻の1940年計画」を知って「いだてん」を見るとおもしろいかも

「いだてん」第2部も突っ走っています。 このまま1964までどう引っぱってくれるのか楽しみで仕方ありません。 www.youtube.com そこで、気になるのは、1940年に開催される予定だった幻の東京オリンピック。 これは「いだてん」で描かれるのかどうか。 1964…

「ノーナレ 画面の向こうから」で思い出す、あのベトナム人少女はいまどうしてる?

2012年6月某日ベトナム時間23時35分。 ハノイ・ノイバイ国際空港出発エリアで、名古屋便の搭乗手続きがはじまった。 私が並ぶ列の前後には、おそろいのポロシャツを着たベトナム人の若者たちがいくつかのグループに分かれ並んでいた。ポロシャツの背にはみな…

「さらば、下呂温泉」で明かされた下呂温泉の秘密

この前、東京のあるところに荷物を送ろうとその住所を見たら「五本木」とあった。 五本木? 六本木じゃなくて五本木? 五本木なんていう住所、東京にあるんだ。 六本木ってたしか港区で、なんも知らずに五本木という住所を聞くと六本木の隣りとか思っちゃう…

教科書には載らない川端康成がホントはおもしろい

<たちの悪いいたずらはなさらないで下さいよ、眠っている女の子の口に指を入れようとなさったりすることもいけませんよ。と宿の女は江口老人に念を押した。> <「片腕を一晩お貸ししてもいいわ。」と娘は言った。 そして右腕から肩をはずすと、それを左手…

「ゴリラ脱走!」日本モンキーセンターのゴリラ訓練の注目度をなんとかしたい

愛知県犬山市にサル類専門の「日本モンキーセンター」という動物園があります。 その日本モンキーセンターで、2000年8月ゴリラが檻から抜け出し来園者に怪我を追わせるという事故が起きました。 以来年2回(だと思う)、日本モンキーセンターでは職員らによ…

ユーミンがもう歌ってた タピオカの魅力のことなら

第二次世界大戦が勃発する前までの第一次世界大戦は、おそらく第一次なんて冠はついていなく、のちに第二次にあたる、世界規模の戦争があったから、あとになって第一次世界大戦と名づけられたに違いありません。 タピオカがいま、第2次(第3次)ブームだとか…

山里亮太&蒼井優の会見を見て「分人主義」における<愛>の姿を見つけてしまった。

芸能人の誰と誰がくっつこうが離れようが、わが日常は変わらずゴミ捨てに行かなくちゃいけないし、朝ごはんも食べなくちゃいけない。 朝ごはん食べながらテレビ見てたら、どこのチャンネルもあの二人の会見映像ばかりで、あーあと録画しておいた「デザイント…

それはホントに偶然か?「偶然仕掛け人」に仕掛られたい

会うべくして会う運命の出会いというのがあって、 運命というからには必然のような気がするけど、 出会いそのものは偶然にすぎなく、 それを運命とか必然に引き寄せるのは やはり本人次第ということになってしまう。 これは恋とか愛とかに限るだけじゃなくっ…

「世にも奇妙な物語〜あなた、同意しましたよね」〜授業で見せたい『クローズアップ現代+ 水増しインフルエンサー』

小さな花屋を営むAさんは、店の宣伝のためにインスタをはじめました。 フォロワーを増やすために、興味を持ってくれそうな人・店・有名人などを次々とフォローし、フォローバックによるフォロワーを増やしていきました。 でも際立った特長もないふつうの花屋…

いつものコンビニで僕はなんて呼ばれているかふと気になって

よく見かけるんだけど<その人>の名前は知らない。 でも時に<その人>のことを話題にしなくちゃいけない。 「ほらほら、あの人」だけでは「あの人って誰?」となり、別の人を思い浮かべてしまうかもしれない。 そんなとき必要となるのが、仲間内だけで通じ…

「まっすぐ帰るの?」と問われたらなんて答えますか?〜発達障害と比喩

いつだったかTwitterに流れてきたこの投稿がとてもステキだったのでスクショして保存してあります。 大人の、しかも男性から女性への「まっすぐ帰るの?」には、統計上および経験上7割ほど「(よかったら飲みにでも行かない?)」が込められているのは間違い…

「82年生まれ、キム・ジヨン」を読むべきは<昔は良かったけど今だダメ>と【今】に文句を言う男性だ

82年生まれ、キム・ジヨン (単行本) 作者: チョ・ナムジュ,斎藤真理子 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2018/12/07 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (2件) を見る はじめて読んだ韓国文学。 ちょうど読み終えたタイミングで何気な…

こんなカッコいい時代劇は「椿三十郎」以来(個人の感想)。それは「スローな武士にしてくれ」

京都太秦撮影所のベテランスタッフ&大部屋俳優とNHKの最先端撮影機材&技術がいっしょになって時代劇を撮ったらどうなる? 再放送ですけど、終わっちゃいましたけど、おもしろかったカッコよかったすばらしかった。 www6.nhk.or.jp 新旧・ハイテクローテク…

9年前のエピソードがあるから天陽くん(吉沢亮)のセリフが活きてくる〜「なつぞら」に溢れる丁寧さ優しさ

「なんでもできるってことはなんもないのと同じだよ。何もない広い土地に行くのと同じだからな。自分で土を耕す方法を覚えて作れる種をみつけて、それを手に入れないと何もできない」 なんでもできるアニメーションの可能性に惹かれていくなつ(広瀬すず)と…

「植物に学ぶ生存戦略 話す人・山田孝之」に学ぶ令和時代の生存戦略

世の中には2種類の人間がいます。 「植物に学ぶ生存戦略2 話す人・山田孝之」に惹き込まれてしまう人と 「なにこれ?」と見向きもしない人の、2種類が。 「Eテレ」と、その名称を変える前の教育テレビの教育番組は、かつてこんな風でした。 白いホリゾント…

平成最後の冬に吹いたやわらかで優しい風を「令和」へも

冬は嫌いです。寒いから。 でも冬の、冬なのになんだか今日はちょっと暖かいぞ、という日があります。 そんな冬の日、 いつものようにマフラーやストールを巻いて家を出たけれど、 (要らないかも)と外し、バッグの持ち手に マフラー(ストール)を通して歩…

小心者にとって平成から令和は絶好の変わるチャンス

令和へのカウントダウンがはじまっています。 その日まで<何者>にも襲われなければ、昭和ー平成ー令和と、3時代を生きていく男となってしまう。 若い頃は、「あの人明治生まれ」と聞くだけでその人は歴史上の人物に思えてしまってそれだけ昭和の時代は長か…

現代アートのような井上陽水の会話構造

「え、そんな若かったの!」と「え!もうそんな年!」の2大びっくり年齢に最近立て続けに出会いました。 「え、そんな若かったの!」は、 「東京物語」(小津安二郎)での笠智衆。撮影当時49歳だったと知りたまげました。 「え!もうそんな年!」は、 あの声…